クレイジー・ティンバー・エンジニアリング

日本一マニアックな木造建築・木質材料のブログ

ビス接合の縁距離

ビス接合をする際、縁距離や端距離を適切に取らなければ、耐力が発揮できない。日本建築学会の木質構造設計基準・同解説にルールが定められているが、これらは1932年にアメリカの研究者のTrayerが提案したものを基に、安全側に設定されたものである(らしい)。

 

縁距離について注目すると、繊維方向加力時は1.5d(d=ビスの径)以上確保することと定められているが、1.5dは最低限で荷重負担時に変形能力を付与したいのであれば、より大きく確保した方がよい。これは荷重負担時にビス穴から割裂が生じた時に縁距離が小さいと容易に曲げ変形を起こし、ビスが割裂で生じたスリットに滑落し耐力が急激に低下するためだ。

 

また、フルスレッドビスについては国内では歴史が浅く、縁距離・端距離・ビス間距離の設計ルールがない。私自身の経験則ではあるが、フルスレッドビスは打ち込みの際に縁距離30mm以上確保した方がよい。それ以下だと木材の表面に割れが生じ、期待した性能が発揮できないためである。

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フルスレッドビスの縁距離