クレイジー・ティンバー・エンジニアリング

日本一マニアックな木造建築・木質材料のブログ

2019-01-01から1年間の記事一覧

貫接合の耐力を高める工夫

貫接合は、柱にほぞ穴を設けそれに貫材を差し込むだけというシンプルな接合である。この接合部は施工精度がミソで、ゆるゆるだとスリップが生じ、大変形に至るまで耐力が発揮されないという短所がある。しかし、耐力を発揮し始めてからはかなり粘り強く、じ…

接合具の端距離

木質構造で接合具を使った接合をする場合、端距離に注意しなければならない。特に柱脚接合部などの繊維方向加力の時には注意が必要だ。端距離が極端に短い場合、端抜けせん断破壊が生じ耐力がかなり低い。端距離が十分に長い場合は、端抜けせん断破壊を生じ…

ビス接合の縁距離

ビス接合をする際、縁距離や端距離を適切に取らなければ、耐力が発揮できない。日本建築学会の木質構造設計基準・同解説にルールが定められているが、これらは1932年にアメリカの研究者のTrayerが提案したものを基に、安全側に設定されたものである(ら…

梁の曲げ戻し効果=梁の抑え効果

耐力壁が地震のようなせん断力を負担した時、壁自体が転倒しようとし転倒しようとする力が柱の引き抜き力と言われている。 図の右側のように耐力壁に梁と添え柱が付いていると梁が柱の引き抜きを抑えようとしてくれる。それが梁の曲げ戻し効果と呼ばれている…

ビスの選定

ビス接合は、高剛性や高靭性を狙うために優れた接合だ。 柱ほぞにビスを打つ場合など、せん断接合として効かせる場合は、半ネジタイプのビス、引張接合として効かせる場合は、全ネジタイプのビスが効果的だ。半ネジタイプのビスは、欠損が少ない胴部(ネジ切…

多面せん断

木造建築における、木ダボ・ビス・釘・ボルト接合は基本的にはせん断接合として使用されている。鉄骨造ならハイテンションボルトを使って当たり前のように摩擦接合が実現するが、木材は粘弾性体であるため応力緩和が生じ摩擦接合の実現は難しい。 そんな、接…

木造耐力壁設計の心得

木造耐力壁の構造的な性能は、耐力と変形によって決まる。耐力壁を設計する場合、なるべく変形しずらく、耐力も高いというのがベストではあるが、それを両立させることは非常に難しいが、①変形のしずらさ(剛性)を高める、②耐力を向上させるというの2面から…

木造設計の耐震性能

多くの木造建築は耐力壁によって、耐震性能を発揮している。耐力壁とは、地震に抵抗する壁であり、その種類によって強度が異なる。現代の木造建築に一般的に使用されている耐力壁は、筋かい壁と面材壁であり、その特性によって使い分けがされている。 耐力壁…