クレイジー・ティンバー・エンジニアリング

日本一マニアックな木造建築・木質材料のブログ

貫接合の耐力を高める工夫

貫接合は、柱にほぞ穴を設けそれに貫材を差し込むだけというシンプルな接合である。この接合部は施工精度がミソで、ゆるゆるだとスリップが生じ、大変形に至るまで耐力が発揮されないという短所がある。しかし、耐力を発揮し始めてからはかなり粘り強く、じわじわと耐力が上昇しながら変形し続けるという長所がある。そのため、カベワンGPでも多用されている接合形式である。

 

カベワンでは、スリップを防ぐために、施工直前までラッピングをして含水率の変化による乾燥収縮を防ぐなど対策をするチームもあるくらいである。また、ダボやビス・楔を併用すれば、スリップを防ぎつつ変形能力も稼げる非常に強い接合部となる。

 

もう一工夫として、貫は耐力壁の変形と共に柱材がくいこむことにより更なる耐力の上昇を期待すること出来る。そのためにはくいこみ代=貫の余長が重要である。では一体何mm余長があれば十分で、くいこみ効果が期待できるかというとそれについては不明で、私が耐力壁を設計する時にはカベワンのルールで出来るMAXの100mmで行っている。

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貫の余長とくいこみ効果